≪カセドリア植民地Ⅰ&Ⅱ≫ ※これまでのあらすじ
密約を交わしたネツァワル・ゲブランド連合軍により、
カセドリアは両国の共同植民地とされた。
アズルウッド商業区の建造物は兵士滞在用の宿泊施設へと変えられ、居住区はカセドリアの女(特に美しいエルフ)たちを集めた慰安区と改名された。そこにはベラーノイスラを始めとするロリ館、ルージュチェックなどの学生館、キマイラなどの獣館、BBA専の一館など、男たちの欲望を満たす種々の娼館が並び、ネツァワル・ゲブランドの男たちで日夜賑わう。
性病の蔓延を防ぐ為、娼婦たちの食事や健康、日常の行動は徹底的に制約・管理され、健康を崩したものや言動のおかしいものはすぐに軍管区に隔離、治療される。そこでは反抗的娼婦への拷問や調教、中絶処置なども行われる。
そして限られた者しか入ることを許されない王城区では女王ティファリスを始めとするロイヤル娼婦が男たちを迎える。
既にカセドリアに残っている男は殆どいない。
その多くは大陸へ連れ出され、築砦などの奴隷となり、僅かに残ったものは訓練用の餌(それは殆ど一方的な虐殺である)にされている。
中には兵士として前線へ出る者もいるが、最も危険な死地へと送られる。彼らはたとえ捨て駒として使われると分かっていても、女王ティファリスの命が握られているため、逆らうこともできず死んでいく―――……。
それがかつてメルファリアの一角を担った大国カセドリアの―――現状であった。
仄かな月明かりが照らす私室で、
カセドリア元女王ティファリスは静かに呟いた。
はじめましょう…
遠き日に見た、あの暁光を取り戻すために――――――
それは女王ティファリスの起こした小さな反乱。
エルフしか見ることができず意志の疎通を行うことができない“精霊”を介し、各娼館のアイドルたちと連携した奸策。エルフの秘薬を肉壷に塗り、それぞれのものを合わせることによってネツァワル・ゲブランドの人長クラスをクリスタルへと葬す謀。
そして今、一人のゲブランド兵がカセドリア植民地を訪れていた。
彼の名は、ウォン=ヴェイン―――。
|