5月4日(日)
昨日は日記を書けなかった。
椎葉部長の事を想うとどうしても辛くなる。
でも書かなきゃいけない。
私が一番に惹かれたのは、3年の椎葉部長だった。
格好良くて、優しくて、とても面倒見が良くて。
知識が豊富で面白い話を沢山してくれた。
私はすぐに彼に惹かれていった。
彼も私を好きになってくれた。
大学が終わった後に二人だけで食事をしたりするようになった。
それが、丁度一年前の5月…
7月にサークルで合宿にいった。
二人一部屋で、他に作業用に大広間があった。
私は志穂ちゃんと一緒だった。
志穂ちゃんに、私が部長の事を好きだとうち明けたら、
志穂ちゃんは壮一郎くんが好きだと打ち明けてくれた。
私は志穂ちゃんと壮一郎くんのことを応援するから…
私のことを応援してね、と…
私は、そう、言った。あの時。
私は椎葉部長の事しか頭に無かったから。
結局、合宿では特に何の進展もなかった。
今考えてみれば、あの時、椎葉先輩達は…真理子先輩と…
5月5日(月)
恋は盲目だと言われるが、まさしくその通りだ。
私は椎葉部長が好きで、好きで仕方がなかった。
他のことに対してはどこかおざなりで、疎かだった。
そして盲目なのは、他のことに対してだけでなく、
部長に対してもそうだった。
私は夢を見ていただけなのかもしれない。
けど、今でもまだ覚えてる。
部長の優しい瞳。
あれが嘘だったとは信じられない。
だからまだ、諦めきれないでいる。
5月6日(火)
今日は西洋哲学史の講義があった。
人間が、人間社会を形成し始めた過程を学んだ。
ある人が、ここは俺の土地だと、主張し始めたその時に、
貧富の差が生まれた。
全ての人は平等であったはずなのに。
不平等であるが為に、差別が、階級が、戦争が生じた。
もしそんなことが無ければ“人権”なんてものは必要なかったものだった。
愚かだって思う。
5月7日(水)
椎葉部長と…椎葉部長に、告白したのは私からだった。
私が好きですっていったら。
俺も好きだったって、言ってくれた。
それから、キスをした。
短いようで長いキス。
どれくらいしてたか分からない。
本当に覚えていない。
それから何度かデートをした。
遊園地に行ったり、映画を見に行ったり、食事をしたり。
分かれる前には必ず優しいキスをしてくれた。
椎葉部長は、「雅隆」って呼んでくれって言ったけど、
恥ずかしいからやっぱり「部長」としか呼べなかった。
それから暫くして、椎葉部長と初めて結ばれた。
5月8日(木)
今日は、お兄ちゃんが家に帰ってきてた。
お父さんもお兄ちゃんも殆ど家にいないことが多い。
二人とも仕事が忙しいみたい。
お兄ちゃんもうすぐ結婚するみたい。
今度彼女さんうちに連れてくるって…
5月9日(金)
5月10日(土)