立開はその顔を怒りに真っ赤にして、私の髪を掴みあげた。
言うことを聞かない私に、男は完全にぶち切れていた。





「上等だッッッ 糞アマ――――――ッッッ!!!
てめーの男と仲良く灰にしてやんよ―――――――――!!!」





ざまぁ―――、私は激痛の中、笑った。




















「せつらああああああああああああああっ――――――!!!」











部屋の中に愛しい声が響いた後――――――、










それは本当に一瞬の出来事だった。





私の姿を見た彼は逆上し―――――――――…………





喧嘩―――?





乱闘―――?





殴り合い―――?





多勢に無勢―――?










そんな言葉はそこには存在しなかった。










きっとここに入る前に拘束されたのだろう。





彼はその拘束具を引き千切り、手当たり次第に男達を殴り倒していった。





その場に10人以上いた男達はあっという間に床に転がって―――……





一度転がった男は悶絶し、ぴくりとも動かず―――……





それはあの立開さえ例外ではなく―――……





それはあまりに圧倒的





あまりに一方的な










そこに必要な言葉はただ一つ――――――……










虐殺。






























「飛鳥あああっ―――――――――!!!」










やっぱり、





やっぱり彼は私の期待を裏切らない。





裏切らないんだ!!!





こんな、





こんな嬉しいことって―――――――――!!!






























枯れたはずの涙の中に―――、




嬉し涙で滲んだ視界の中に、1人の女が立っていた。



















































第52話:影向
終わり

: : : : :

: : : : :

  第53話:奪われた名
― ―― ―――――――――――――◇――――――――――――― ―― ―
<- BACK -  

: : : : :

: : : : :

メインページへ戻る

: : : : :

: : : : :