飛鳥あああ……
飛鳥ぁ…………
彼を愛してる。
どうしようも無いほどに、彼が好きで、
心が溢れてしまう程に、彼が全てで、
だから黎と寝てまで、
やっと
もっと深く、
もっと強く、
彼との絆を得ることができたのに
なんで、
こんな、
どれくらい、そうしていたか分からなかった。
泣き疲れ、叫び疲れ、男達に犯された体は酷く不快で―――――――――……
「ううっ…………、、、」
近くで転がっていた男の呻き声に、私は怖くなって服を掻き集め、急いでその場を後にした。
下着もなく、無理矢理脱がされた服はボタンもホックも千切れてしまっていて―――、私はスカートを手で押さえながら、なんとか歩き出した。
外は真っ暗だった。
どこをどう歩いたのかなんて分からなかった。
気がつくといつの間にか、私は羅城の家へと帰ってきていて―――……
ガチャリ―――……
幸い、スカートのポケットに鍵は入ったままで
真夜中―――、玄関に置いてあった時計は２時を示していた。
リビングにはまだ灯りが付いていた。
私がそっと扉を開けると父が酒のグラスを片手にテレビを見ていた。
「ひか―――……、誰だ！？ なんだ君は！？」
「お父さんっ！？」
「何だ君は―――、ってどうしたんだその格好は―――……！？
お、おい大丈夫か、警察を呼ぼうか！？
あ、いや、救急車か？」
「お父さん、待って、私だよ、※※※だよ！！」
「お父さんって―――、何を言ってるんだ。
落ち着きなさい。今、救急車を呼ぶからね」
「待って、お父さん、私※※※だよ！！ お父さんの娘だよっ！！」
「娘……？」
父は突然テーブルに両手をつけ、頭を下げた。
「え、なに、どうしたの……、ねぇ、やめてよ……」
「申し訳ない、が。帰ってくれないか…。
もし私の息子が何かをしたなら謝る。
後日必ず詫びを入れに行く。
だから今日のところは勘弁してくれ、この通りだ」
「やだ、何言ってるの、ねぇ、私が分からない？※※※だよ？
お父さん」
「違う……、、、のか？
君は、さっきから何を……言って…、、、
お父さん……？
いやっ、その、申し訳ないが、そういった趣向は…………、、、
というより、君はその、酷い目にあったんじゃないのか……？
その……、、、、、」
駄目だ、分かってくれない。
お父さんも、私をせつらだと分かってくれない。
あの女の所為だ。
あの女が何かをしたんだ……。
「その―――……、君は、いったい……、何をしに来たんだ……？」
どうして、
どうして私が、こんな目に遭わなくちゃならないの―――……、、、
「あ あ ああっ ああ、 うううっ……、うううっ………………」
私は堪えきれず、蹲って泣き始めてしまった。
私が泣き続けていると、父がドアのそばので小さく呟いた。
「正直、私には君を知らないし、誰かも分からない。
けれど他にもし行くところが無いなら、今夜一晩だけここにいてもいい。
冷蔵庫の中にあるのは好きに食べていいし、お風呂に入っても良い。
但し２階にだけは上がらないでくれ。
そこは私と娘の部屋だから。
それと今夜は私は外で寝ることにするから……。
何もしてやれず申し訳ないが、君みたいな若い子を招き入れて、
あらぬ誤解をされるわけにはいかないんだよ……。
君が何かをする、と言っているわけではないが私には守りたい大切な家族がいる。
それを壊すようなことは決してしたくない。
いいかい、今晩一晩だけだよ？
今夜一晩だけここにいてもいいから、
明日になったら―――、
夜が明けたらちゃんと自分のうちに帰るんだよ。
分かったね？」
私が答えずにいると、父はそれ以上何も言わず、黙って玄関から出て行った。
私はのろのろと立ち上がり、お風呂場へといった。
男達にかけられた精液が髪に、顔に、体中にこびりついていた。
ザァァァ――――――――――――――――――――――――
とても温かで、
心地よい
シャワーの湯水、
こびり付いた悪夢の残滓が綺麗に流れ、排水溝へと消えていく―――…………。
綺麗に、流れ落ちていく。
ああ
あったかい……。
そうだ、私、夢を見ていたんだ。
きっとショックなことがあって、、、
あっ、
そういえば、昨日はあまり寝付けなかった気がする。
だからとても嫌な夢を見ていたんだ。
だって飛鳥が私の事を忘れるなんて、絶対に有り得ないもの―――……
「飛鳥、愛してる」
心の中に暖かな感情が生まれる。
そう、これが現実。
やっと悪夢は終わったんだ。
明日になったら飛鳥とデートしていっぱいキスして、抱き締めて貰おう。
ああー、飛鳥のおちんちん、欲しいな。
きっと飛鳥のおちんちんが足りなかったんだ。
だからあんな嫌な夢を見たんだ。
明日はいっぱい飛鳥に好きって言おう。
いっぱい好きって言って貰おう。
いっぱい愛して、愛されて―――――――――////
私は、頭を上げ、上からシャワーの湯水を受け止める。
湯水が顔に弾け、心地よく流れる。
「飛鳥―――、私、※※※だよ」
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第53話：奪われた名
終わり
