刹那と呂久斗が打ち合うホールの扉が開いた。

現れたのは、その瞳から光を失わせた虚ろな女―――七種いつき。
座主坊呂久斗へ霊気を補充する為の、性奴―――。










彼女の両脇にいた男が彼女の両手の拘束を解いた。
そしてその手に真剣を握らせ―――、扉は閉じられた。



「七種いつき、呂久斗を助けなさい―――」



せつらの言葉に七種いつきはゆっくりと顔を上げた。
真剣を正に構え、その腕が震える―――。



(―――……こういう言い方じゃあ、駄目か……)



せつらは彼女へ近づき、耳元で呟いた。





「七種いつき―――、空見刹那を、あの女を殺しなさい―――」





いつきの腕の震えが止まる。


そして―――――――――


彼女は駆け出していた。






























(えっ―――……
 七種いつき―――!?)



常人の耳では聞き取れないであろうその声を、刹那は聞き取っていた。
それは確か、彼女の師である空見歌織が話していた、親友の名ではなかったか?



巨漢との打ち合いに割って入ってきた女に、刹那は驚いた。



その女性からは生気というものがまるで感じられなかった。
ドラキュラに命を全て吸われてしまったかのように弱々しい。

しかしその剣戟は凄まじく、殺意に充ち満ちている―――。


と、同時に、刹那はやはり彼女の振るう太刀筋には親近感を感じずにはいられなかった。





それは間違い無く、神楽流――――――





(あの女が、この人も操ってるって言うの―――!?
私から名を奪っただけじゃなく、いつきさんの親友にまで―――、こんなことを!?

くっ―――――――――

赦せないッ―――――――――!!!)




















私は一度、彼らから大きく距離を取った。




「ふぅ―――、」




奈落を下げる。




歌織さんとの修行はいつも砂浜だった。
私は自然の恩恵を受けすぎていた。

ここではなぜか、大地の力を感じないけれど――――――…………





彼らは待ってなどくれないだろう。
時間は無い。





歌織さんの親友だという彼女とは戦えない。



けど、このままじゃ勝てない。





なら、





今度こそあの巨漢を斬る―――――――――!!










幾ら分厚い壁に隔離されているとは言え、ここは地下―――――――――





その周囲には大地が横たわっている。










「はああああ―――――――――――――――」










(お願い、力を貸して―――――――――!!)




















私は大地と共にある・・・・・・・・・―――――――――






























その時、ホールの扉開いた。




















現れたのは―――、空見飛鳥――――――



















































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