上州名物、かかあ天下にからっ風
世に『上州名物、かかあ天下にからっ風』と申しまして、昔から群馬は風が強いことで有名でございます。
冬ともなれば赤城颪がピュウピュウ吹いて、気温以上に寒く感じるお土地柄。
ちなみにお隣の栃木県もまた風が強い。
こちらは日光颪となりまして、家が揺れるほどの風が毎日吹きすさびます。
その風の強さは、向かい風なら歩みも止まるほどでございます。
さて、そんな両県は、古くは『毛野国』と申しまして、一つの国でありました。しかし、後の大和朝廷に、あまりに強大すぎることを嫌われて、『上毛野国』、『下毛野国』と二つの国に分けられました。それが更に後、『上野国』、『下野国』と転じた訳でございます。まあ、理由はいろいろとございますが、それはまた別のお話。
さてさて、共に風が強いことで知られる群馬県と栃木県を繋ぐ路線が『両毛線』と名づけられたその訳は、かつての『二つの毛野国』を繋ぐ線であったからであります。
今回は、その『両毛線』が舞台でございます――。