昨晩コンビニで購入した一番小さいサイズの男物のシャツとトランクスを穿き、少しだけ安心感が戻った。
それからやたらと長く邪魔くさい髪にブラシを通す。
(………………、
シャンプーとリンスを買ってこなきゃいかんな……)
俺は昨日用意したメモ用紙にシャンプーとリンス、それからボディソープを書き足た。
それからできるだけ早く新しい布団が欲しい。
もう二度と、あの臭い布団で寝るのはごめんだ。
部屋を見渡すとそこには何もなかった――――。
昨日、何かも捨ててやったのだ。
何もない、だだっぴろく床と壁を曝す家はまるで白紙のような状態で、これからここに何を置くか、何を買ってくるか、それらは全てこれからの選択次第で、
それはまるで新生――――家が生まれ変わったような感覚で、そしてそれは少なからず俺自身の意識にまで影響を与えていた。
何を買い揃えるか、何が必要なのか、それを考えるのは意外と楽しい作業で、悪くない。
必要なものを買う金に困らないことは、かなりの幸運といえた。
8時前に俺は家を出た。
ぐずぐずしているとまたあいつらが俺を迎えにきてしまう。
俺が向かったのは学校だった。
学生鞄の中には筆記用具しか入ってないが、もとよりまじめに勉強する気もない。
輪光高等学校(通称:輪高)は地元の学校なので歩いても20分程度でつく。
できれば単車で行きたいところだが、この体ではあの大きさの車体には乗れないし、それにあれは目立ちすぎる。
通学用に一台、チャリをぱくった方がいいかもしれない。
俺は早朝の街中を、他の生徒やサラリーマンに混じって歩いた。
スカートが歩きづらかった。
(っていうかなんでこのスカートってやつぁ下ががらんどうとしてやがるんだ?
無防備すぎて、ひらひらして、風が入り込んで、全く落ち着かねぇ。
なんで女はこんなものを平気で穿いていられるんだ?
どうしてこれを服と認められるんだ?
ちょっとめくれば下着が見えちまうじゃねーか。
めくらなくたって風が吹きゃぁ……
ちょっとめくれば……?
そうか、スカートってのはすぐにまんこが出せるような構造になってるわけだな。
男が使いやすいよう利便性をはかっているわけだ―――――
くっくっくっ――――)
そんなとりとめもない思考をしながら俺は歩き続ける。
しかしその情欲の対象は今、俺自身なんだよな、と考えそうになり、必死に追い払った。
俺があんなエロい体型をもつ生物になっていると考えるとまた吐いてしまいかねない。
どうやら俺の心は、自分が思っている以上にデリケートらしかった。
さて、一昨日まで存在していなかったはずの羅城せつらとやらが、一体どうなっているのかさっぱりわからない、が、とりあえず生徒手帳に書かれた、1年C組とやらに行ってみるほかあるまい。
教室へ着くのが早すぎたため、俺は自分の座席も分からぬまま20分も待たなくてはならなかった。しかし、女なってしまった自分が、これからどうやって過ごしていくか、それはあまりに難題で、茫洋としていて、考えているだけで時間はあっという間に過ぎていった。
教室に入ってきた生徒たちに奇異の目を向けられるが俺は受け流す。
メンチを切ってやっても良かったが、ここは暫くは様子見だ。
やがて先公がやってきてHRが始まった。
俺が後ろで突っ立ったままでいると、先公が話しかけてきた。
「あ、もしかして君、羅城せつらさん――――?」
「そう、だけど―――」
「あれ、編入は昨日のはずじゃ……?」
「あ――、昨日は、ちょっと忙しくて―――」
「それに教室じゃなくて先に職員室にきてくれないと…。
まあ、いいから、じゃあそこに座って」
俺は言われた席にどかっと腰を下ろした。
クラスメイトたちの奇異の視線を感じ酷く居心地が悪い。
その原因はすぐ分かった。
(え?まじなの?)
(羅城っていった――――?)
(羅城って言ったよね………)
(まさかあの3年の羅城の妹とか??)
(あの羅刹に妹なんていたの?)
教室のざわつきに先公もすぐに気づいたらしく、皆の前で俺に問いかける。
「えっと、羅城さんは、3年の羅城道孝くんの妹さんなのかな?」
(チッ――――――
めんどくせ……)
そう聞かれたこと自体が、非常にうざったく、腹立たしく思えた。
(だったらなんだってんだよ―――――!?)
「そうだけど?」
だから俺はそう答えてやった。
その瞬間、教室の空気が一気に冷えるのが分かった。
俺の周りから一気に退いていくような、決して近づきたくない、そんなオーラが見て取れた。
「そうなんだー、いや全然似てないね。
あ、いいんだよ、別に。
はい、じゃあ―――、今日のHRは終わりー、すぐに1限の用意してねー」
先公は出席をとると早々に教室をあとにした。
1年の時の教科書など俺が持っているはずもなく、1限も2限も俺はただ机に突っ伏して眠っていた。
二人の教師はまず「編入生なんだ」と言い、次に「羅城」の名に何か言いたそうにして黙った。
本来の俺は3年生だったので、1年を担当している先公までは知らない。
勿論、校内で何度も見かけたことはあるだろうが名前までは把握していない。
遠巻きに視線は感じるものの、誰1人として俺に話しかけてくるものはいなかった。
別にそれで良かった。
話しかけられたところでどう対応していいかも分からない。
というより、俺は何をやってるんだ?
今更学校にきてどうしようというのだろう?
つーか、俺はどうするつもりだったのだろう?
俺が元の体に戻るにはひたすら男とセックスをするしかないというのに――――――………
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお―――――――――――――だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ―――――――!!!!!
俺は喉の上まででかかった絶叫をぎりぎりで押さえ、そして頭を抱え、机に突っ伏した。
ありえねえッ!
ありえねえッッッッッッッッ!!!
不意に男とセックスする自分を想像し、俺は全身の身の毛がよだつ思いがした。
凄まじい悪寒に蝕まれ、震える自分の体を抱きしめる。
それはない。絶対にない。
それだけは、絶対に。
今はっきりと分かった。
そうだ。
だからだ。
だからこそ、だ。
だから俺は学校にきてるのだ。
男とセックスする、俺はそれ以外の道を進まなければいけないのだ。
だからこそ、俺は学校にきたのだ。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
何度も深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着かせる。
(畜生、これは本当に現実なのか――――……
こんなことが起こっていいのかよ………)
本当は学校なんてどうでもいい。
女の身体もどうでもいい。
早く男に戻れればそれでいい。
いや、いっそもう戻れなくたって構わない。
それでも――――――――――!!
もし戻れないとしても、それでも、男とセックスをすることだけは、それだけは絶対回避しなくてはならない。
そのために俺は――――――――
そのためだけに、
そのためなら、
俺は―――――――――――
俺は、羅城せつらとして―――――――――
今、俺がなすべきこと。
それは羅城せつらとしての生活を確立させること。
3限目の休み時間に俺は肩を叩かれた。
顔を上げると、恐らくクラスメイトだろう女子が震えながら教室のドアを指さした。
そこにはとても見慣れた人物――――――――空見がいた。
空見は悪鬼の四天王の一人で、言ってみれば俺の側近だ―――…った男だ。
悪鬼はいつの間にか、俺・羅刹を頭に四天王と呼ばれる男たちがいて、組織だった動きをするようになっていた。
その組織も、四天王とやらも、俺が意図的に作ったわけでも決めたわけでもない。
周囲が勝手に祭り上げただけのものだ。
そして俺を訪ねてきた空見は、その四天王の中の一人。
細長の瞳に眼鏡が似合っており、一見ガリ勉秀才ように見えなくもないが、その実喧嘩は文句なく強い。何かと頭の切れるやつで、悪鬼の中ではもっとも頼れる奴だと思っている。
(おおっ空見じゃねーか―――――!!!)
と、内心、肩でも組みたくなる心境にあったが、一応初対面である。
「君が羅城せつらさん?」
どういう話し方をしていいかわからず、俺は黙って頷く。
「君が羅刹さんの妹だというのは本当なのか?」
「そうだ、と言ったら?」
空見は一瞬きょとんとし、しかし次の瞬間その目は鋭さを帯びた。
「意味がわからないな―――。
訊いているのはこっちなんだが?」
低くなったその言葉に彼が怒気を乗せたのに気づく。
鋭い眼光を俺は正面から受け止める。
凄まじい覇気だ。
やはりこいつはそこらの男とは違う。
俺が一目置いていただけのことはあった。
(いや―――――)
これはもしかしたら藪蛇になるかもしれない。
そう思った俺は自分から目を逸らした。
考えてみたら俺と空見との関係は今や、頭と舎弟、ではなく、上級生と下級生なのだ。
奴のご機嫌を取る気など毛頭ないが、変に目をつけられて揉め事になるのは面倒だ。
羅刹が健在ならばともかく、羅刹が消えた今、その妹が現れたことで、事態がどう転ぶか、俺には想像ができなかった。
俺が羅刹本人だと信じさせることができればいいが、しかし、俺が羅刹本人だとして、それからの関係はどうなる?
女になった俺にこいつは付いてきてくれるのか―――?
「羅城さんの妹が転入してきたという話を耳にしたからきてみたんだが」
「いえ、違います……。
私に兄はいません」
「そうか――――――…まあ、そうだとは思った……。
あの羅刹さんに妹がいるなんて聞いたことがないし」
「もう戻っていいですか?」
「君は転入生で知らないかもしれないが――――…
この学校で羅城の名は特別な意味を持っている。
いや、この学校だけじゃない。この地域で、だ。
これはあくまで忠告だが――――できればその名は名乗らない方がいい。
面倒なことに巻き込まれたくなければ――――」
「そうですか、わかりました。失礼します」
自分の席へ戻ろうとした俺を、空見が呼び止めた。
「もしかして羅刹さんの居場所を知っていたりするかい?」
「いえ、知りません、ごめんなさい」
俺は軽く礼だけして自分の席へ戻った。
教室を、完全な静寂が支配していた。
そこにあるのは実は全てマネキンで、本当は誰も生きてはいないんじゃないか―――、ふとそんな錯覚を覚える。
どうやら皆、息を殺して、俺と空見の会話に耳をそばだてていたらしい。
廊下から聞こえる生徒たちの喧噪がやけに遠くに聞こえる。
そんな中、先ほど俺の肩を叩いた少女だけが動き、そして俺に尋ねた。
「ねぇ、羅城さん……、って……、あの羅刹の妹じゃない―――――、の?」
「違うけど……」
「なんだぁぁぁ〜〜〜やっぱり―――――――――――!!!
私は最初からそうだと思ってたんだよ――――」
その飛び抜けて明るい声に、どっと教室の空気が崩れた。
まるで止まっていた時間が突然動き出したかのようだ。
あっという間に周囲を囲まれた。
それから皆が口々に質問を浴びせてくる。
「なんだよー、俺もうてっきりー」
「私もー、ちょーびびったーw」
「凄いね、3年の空見さんにあの態度―――、度胸あるぅ!」
「ねぇ、どうして最初は妹なんて言ったの?」
「ねー、凄い黒髪綺麗だよねー、シャンプー何使ってるの?」
「肌もきれー」
「前の学校は部活なにやってたの?」
「歌うの好き?今日放課後カラオケ行かない?」
「胸結構あるよね、サイズいくつ?」
(な、なんだこれは―――――――!?)
生まれてこの方、初めて味わう雰囲気に俺は困惑した。
どういつもこいつもガキに見えるのは、俺よりも3つ年下―――俺は1年留年している―――の所為だろう。
うぜぇとは思うものの悪意ではないので無下にしづらい。
普段の俺なら「やかましい」と一喝して、片腕で薙ぎ払っているところだが、今の俺にはどうすうることもできず、ただ狼狽えるしかなかった。
それについ先ほど、羅城せつらとしての生活を確立しなければいけないと自覚したばかりである。
「あー、えっと……」
「うんうん?」
「――――?」
「――――?」
「――――?」
「――――?」
「――――?」
「――――?」
皆、目を輝かせて俺の言葉を待っている。
いたたまれない。
なんて言っていいのかも分からない。
逃げ出したい。
「もー!
みんな、静かに!静かに!
せつらさん困ってるじゃない!
はいはい、もう休み時間終わるから〜〜〜
――――――席戻って!」
「えー!」
「いいじゃんよー!」
最初に空見が来たことを知らせてくれた少女が、俺の周りからやつらを追い払ってくれた。
(た、たすかったー……)
「私は御巫みこと。よろしくね」
「よ、よろしく……」
差し出された手を握り替えし、俺はどきっとした。
(お、女の手……、柔けェェ………)
「ずっと気になってたんだけど、もしかして教科書とかまだ貰ってない?」
「あ、うん…」
「じゃあ私隣だから見せてあげるね」
「あ、ありがと…」
彼女が嬉しそうにガンと俺の机をくっつけた。
当然、椅子の距離も寄り、体が近くなる。
俺は思わず顔が赤くなるのが分かった。
(な、なんだ、俺――――……)
「せつらさん、顔赤いよ?」
「う、うん」
「熱あるの?」
彼女が手を伸ばし俺の前髪をかき分け―――――額に降れ―――――、
更に彼女の顔がすぐ間近まで近づいてくる。
(ちょ―――――――――――!!?
なにすンだこいつッ――――――!!!)
俺は思いきりその手を振り払っていた。
「あ―――――――……」
彼女が驚いた表情を浮かべた。
「あ……」
俺も手を振り払ったままの姿勢で固まってしまい、
しかしなんと言っていいか分からず、
と、次の瞬間。
「せつらさん、酷いよもおおぉぉ―――――――!!」
彼女は俺の体に両腕を回し抱きつき、脇の下を思い切りくすぐってきた。
「ちょっ――――おいっ、やめっ……、
おひぃ…あぁんっ、
ああっ―――んんっ、ああああんっ――――!!」
(な、なんなんだ、こいつのテンションはああっ――――!!!)
殆どしがみつくように体に取り付かれていた俺は激しく身を捩り、しかし暴力を振るわけにもいかず、やっとの思いで女を振り払った。
「はぁっ……はぁっ……、はぁっ……」
呼吸が荒い。
酸素が、足りない。
っていうか。
っていうかやばい。
なんだいまの…。
おい、ちょっとまて。
なんだこれ。
なんだよ。
なんなんだよ?
くすぐられただけなのに。
くすぐられただけなのに。
体が痺れたぞ?
おい、なんなんだよ………。
もしかして今――――、この体―――――、イキそうにならなかったか―――――――………?
自分の身体の状態に困惑し、やっと呼吸が落ち着いた頃、俺はようやく周囲の視線に気づいた。
クラス中が俺を見ていた。
そして一様に顔を赤くしている。
その恥ずかしそうなその態度に、見てるこっちまで恥ずかしくなってくる。
「あ、ごめん…、せつらさんて、すごく感じやすいんだね……」
みこと、と名乗った少女が顔を赤くし、申し訳なさそうに謝った。
「か、感じやすい…?」
俺は理由が分からず聞き返すと―――――――――
「やっだーもう!
せつらさんってば可愛い――――――!!」
教室中にどっと笑いがおき、俺はもう訳が分からず、ただ、困惑するばかりだった――――――
その日、みことと悠理は一日中俺に話しかけてきた。
白井悠理も、1−Cのクラスメイトで、みこととは小さい頃からの親友だそうだ。
女の子とこんなふうに会話するのは初めての経験で、俺は彼女たちの顔を見るたびにドキドキしっぱなしだった。
2人は弁当を持ってきていたが、今日は俺に付き合って食堂で昼食を食べていた。
遠くに、俺がよく座る席を見やると、悪鬼の奴らがたむろしているのが見えた。
「へー、じゃあ携帯持ってないんだー?」
「うん」
「えー今時携帯持ってないなんて信じらんなーい」
「めるあど交換しようとおもったのにー」
「……」
「ねえ今度買いに行こうよ」
「え?」
「携帯。一緒に買いに行こ?」
「う、うん……」
「せつらさんて、なんか不思議だよねぇ」
「え?」
「なんか、人と会話することが初めて、みたいな――――」
「え?」
「あ、ごめん。そういう意味じゃないんだよ。
引きこもりだとか、そういう風に言ってるんじゃなくて、
ああ、なんか、うまく言えないけど――――」
「そんなこといったら、そう言ってるのと同じだよ。」
「違うよ!そういう意味じゃないよ!
なんていうか、外見と中身が合ってないっていうか―――…」
「せつらさん、気にしなくていいからね。
みことはちょっと不思議ちゃんはいってるから――――(笑)」
「う、うん……」
「もう、何よそれー」
みことは明るい性格でとにかくよく喋った。
よくもまあ次から次へと話すことがあるもんだと、感心してしまったほどだ。
俺と悠理はもっぱら聞き役だったが、自分から何を話していいか分からない俺は、決して悪い気分ではなかった。
放課後、クラスメイトたちからのカラオケや喫茶店の誘いを悉く断り、俺は早々に家路についた。
疲れ果てていた――――……。
一日中、慣れないことの連続で、ずっと緊張に神経を張り詰めていた所為で、完全に参ってしまっていた。
しかし俺が戻ると自宅の前には何台ものバイクが止まり――――――、悪鬼の奴らが羅刹の帰りを待っていた。
まだたった2日しか経っていないにもかかわらず、俺はその顔ぶれに思わず郷愁じみたものを感じたが、足を止め、踵を返し、コンビニへと向かう。
(俺はもう羅刹じゃねぇんだ……。
こんな女の体であいつらの前に出て行くわけには――――……)
凄く疲れていて、本当はすぐにでも横になって眠りたかったのだが、結局俺はコンビニで1時間以上時間をつぶし、やっと家に入ることができたのだった。
そして改めて決心したのだ。
こんな臭い、汚い布団では寝たくない。
明日必ず、新調しよう―――と。
第2話:登校
終わり