連載小説『ラセツ』　：第一章


その夜、俺は自室で床に膝をつき、小さな台の上で手を組んでいた。そんな姿勢、俺は生まれてこの方とったことがない。俺は祈る方法も、祈る言葉も、祈るべき相手も知らないまま、なぜ誰に何を何のために何も分からず何も分からないまま、それでもただひたすらに―――――――― 祈ったごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい …………… ……… …… … あの人外の女―――…、おそらく天女とか天使といったようなものだろう―――… 彼女は俺を地獄へ連れ去るため（・・・・・・・・・）にやってきたと言った。いや、喚ばれたと言ったのか？俺が傷つけてきた沢山の人たちの恨みが、怨念が、積もりに積もり、あの女を喚んだのか。俺は何のために祈るのか。罪悪感からなのか。傷つけてしまった人々への謝罪のつもりなのか。それとも俺自身が救われたくて逃げているだけなのか。それは全部正しいのかもしれない―――――――――… 正しいに違いない。それでも、それらは全部、本当は、きっとそんなことは、なにもかも表面的なものに過ぎなくて、俺はただもし羅刹だと知られたら、みことに嫌われてしまうのだろうか――――― ただ、そのことだけに、怯えているに違いなかった――――……
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