翌朝、目覚めた時には8時を回っていた―――――。
私の布団で、すぐ隣で先輩が眠っていた。
裸のまま………
勿論私も――――…。
昨日したあと、そのまま眠ってしまったのだ。
そういえば父はどうしたのだろう。
朝8時………、遅くなるって言ってた。
泊まってくるとは言ってなかった…。
なら流石に帰ってきているだろう。
ということは……。
夢見心地でいた私は急に目が醒めていくのを感じた。
父に、私たちが裸で抱き合って寝ているところを見られてしまったかも知れない。
どうしようもない焦りを感じ、でもどうしようもなく、ただおろおろとするしかなくて―――――
……でも今更だった。
今更、気にしても仕方がない。
むしろ父が、クリスマスプレゼントだとコンドームまで置いていったのだ……。
だからもし見られてしまっても……、もう仕方ないよね。
それに――――――――……
私は自分の薬指にはめられた指輪を眺める。
嬉しさが込み上げ自然と顔の筋肉が緩み、ついにやけてしまう。
それにこの人は、私の将来の旦那様なのだから―――――――――
冬休み――――――
私は毎日でもデートしたかったし、いつでも話していたかったし、一日中一緒にいたかったけれど、今は受験を間近に控えた先輩のことを優先しなくてはならなかった。
それなりに合格を見込めているとは言え、その難易度の高さは私にだって想像できる。
先輩が私を邪魔だと言うわけはないけれど、先輩が勉強をする時、私の存在は邪魔者以外の何者でもない。
私の頭では先輩の勉強を手伝うこともできない。
胸が張り裂けそうになるのを堪え、自重しなければならなかった。
私の所為で浪人なんてことはさせたくない。
男はプライドの生き物だって、この前読んだ雑誌に書いてあった。
別に1浪くらいしたところで大して問題ない気もするけど、やっぱり先輩には立ち止まって欲しくないから。
私はまだあと2年、高校生をしなくてはいけないのに先に大学にいっちゃうなんて――――と、寂しさを覚えないこともないけれど、先輩はそんな私の気持ちまで理解してくれたのか、受かったら籍を入れようと言ってくれたのだ。
式や同棲はまだ先になってしまうけれど、それは確かな絆となる。
つまり、私は高校生にして人妻になってしまうわけで。
空見せつら……
きゃ―――――――――っ//////
本当は今すぐにでも逢いたいけれど、がまん。
好きだからこそ、がまん。
今年残された日々あっという間に終わりを告げ、新たな年が始まる―――――――――――
第31話:初体験
終わり