1月16日――――――――――
ひたすら先輩の合格を願い続け、そしてついに試験最終―――――。
携帯電話を閉じた私は思いきり不機嫌だった。
私はてっきりセンター試験が受験だと思ってたのに………。
それは単に一次試験に過ぎないって。
今日からは毎日先輩と逢えると思ってたのに。
まあ、勝手に思い込んでた私が悪いんだけど、
先輩はちゃんと言ったって言ってたけど、そんなの聞いてないし。。。。。
今日からは、今日からは…………、
ずっと一緒だって、
そう思って、耐えてきたのに、我慢してこれたのに……
今日くらい、一緒にいてくれてもいいのに……
1ヶ月後に二次試験があるなんて、、、、、、
「ふーん、それで不機嫌なんだ?」
「うん」
「試験終われば、毎日逢えると思ったのにねぇ…」
「うん」
「思う存分ヤれると思ったのにねぇ……」
「うん」
「あれw 否定しないんだ?w」
「ぶー。」
「あ、まさか、せつら――――!!!」
「え?」
萌が急に嬉しそうな笑顔を浮かべ、そしていきなり私のスカートを捲りあげた。
「ちょ――――――――!?」
「あ、やっぱ勝負下着!?w」
怒りを通り越して唖然とした。
萌の唐突な、非常識な行為に。
私は周囲を見渡し、そして顔を真っ赤にしている一人の男子と目が合った。
伊本薫――――………
私のことを好きだというクラスの男子……。
私が空見先輩とちゃんと付き合いだしてからはちょっかいをだしてこなくなったけど。
下着……、見られた……。
これまでの得た情報から察するに――――……思いきりオカズにされそう……。。。
それにしても、あのタイミングで見てるなんて―――……、
やっぱり、普段からしょっちゅう私のことを見てるってことなのかなぁ………。
ま、いっか………。
「あれ………、せつら?
…………怒らないの?」
「………」
もういいや。
それにしても萌はこういうことに関してはほんと鋭い。
「ああ、もう……。
怒りもしないなんて、ほんとに落ち込んでるのね……(笑)
じゃあ、またカラオケでも行って憂さ晴らしする?」
「うん。
あ、あとで悠理も誘ってみよ」
「悠理と言えばさ、最近付き合い悪いよね」
「そうだねー。
なんかいつもさっと帰っちゃうしね」
「あれ、多分男と会ってるんだよ」
「えー、まさか」
「ないか」
「うーん、ないとは、言え―――ない。」
「ね、もし悠理に彼氏がいたら、どんな人だと思う?」
「大学生とかかなぁ?
悠理は大人の男の人が好きそうw」
「あるあるw
意外におじさまだったりして―――――、でも年下とかも十分にありそうだよね」
「あー、分かるw
悠理、年の差とか気にしなそうだしね」
2月9日――――――――…
案の定というか、無事にというか、先輩は一次試験をパスした。
2次試験の日程は2月の終わり。
まだ半月以上……ある………
結局また勉強漬けの日々で、私には逢えない……。
あーやだ。
もうほんとやだ。
私より受験の方が大事なのって言いたくなっちゃう。
「でも尊敬しちゃうな」
「え?何が?」
「だってさ、空見先輩って毎日毎日ずっと勉強漬けなんでしょ?
ちょっとくらい遊んだり、せつらとえっちするくらい時間作ってもいいじゃんて――――、
っていうより、そういう時間を作らずに勉強できるところが、凄い、よね。
ほんと凄いと思う。
私には到底無理」
「うん」
「そこまで集中できるのがすごい」
「うん」
「それだけ真剣ってことだし」
「そうだね」
「せつらに」
「………え?」
「だって、いい大学入るのって勿論自分のためでもあるだろうけど、結局はせつらの為でしょ?」
「………え、あ、うん、、、」
「信じられないくらい誠実だよね。
ほんと羨ましい」
「うん」
「何その反応はw」
「ううん、なんでも、、、」
「まさかせつら、受験と私とどっちが大切なの!?って考えてた口?」
「ち、違うよっっ」
「ふぅん、まあいいけど。
なんか今日せつら滑舌悪くない?」
「うん、昨日シャワー浴びてる時、ちょっと唇噛んじゃって」
「一人で?」
「一人に決まってるでしょwww」
「でもシャワー浴びながら唇噛むって凄くない?
まさか……」
「もういいよ、萌はぁ――――w」
ドキリとした。
確かに考えてた。
特にこの前の生理の時なんてすごい欲情しちゃって、もう他の男としてやるーとか思ってたし。
勿論、実際する気なんて全くないけど……。
飛鳥は自分で処理してるのかなぁ………。
今頑張るのは私の為かぁ―――――……
じゃあ、将来のために今の私をないがしろにしてもいいってこと―――――――…
って違う。そうじゃないんだって……。
ああもぅ。。。。。
だから私はほとんど自棄になって期末試験の勉強に打ち込んだ。
そして見事好成績を叩き出した。
学年3位。
いいのか悪いのか、微妙なところ。
ただこの3ヶ月で、輪高の偏差値は急上昇中らしく、決して悪くはない、とは思うんだけど。
でも、飛鳥に自慢でき――――なそう……。
第37話:不機嫌
終わり