私は翌日学校を休んでいた……。
逃げだとは分かっていたけれど――――
でも別に悠理と顔を合わせるのが嫌だとかじゃなくて、
単純に怠かっただけで…………
お父さんは早くに出かけたらしく、家の中では物音一つしなかった。
私は遅いおはようと、学校を休んだことを、飛鳥にメールで送った。
私は携帯にイヤホンを繋ぎ、音楽をかけた。
流れるは、切なくも、悲しい、恋の歌。
1曲聞き終わっても、飛鳥からの返事はまだ来ていなかった。
2曲目。3曲目。4曲目。5曲目…………。
大学には、私よりも大人っぽくて、可愛くて、綺麗な女の子たちが、沢山いるのかな……。
飛鳥――――、他の女の子たちと話してたりするのかな……。
6曲目。7曲目。
私はまだ高校2年生……。
でも卒業しても飛鳥と同じ大学にはいけない………。
今から死ぬ気で勉強したって絶対に無理に違いない……。
私って馬鹿なのかな…。
飛鳥は私のこと馬鹿って思ってるのかな……。
やっぱり知的レベルが高い女の子の方が好きなのかな……。
8曲目。9曲目。
返事はまだ、来ない。
脳裏に嫌な光景が浮かんだ。
それは飛鳥に言い寄る女子大生―――――……
明らかに飛鳥を狙っていて、口説きにかかっている。
飛鳥もまんざら嫌そうな顔はしていない。
妄想がエスカレートしていく。
淫猥に誘った女を飛鳥が抱く。
優しさはない、乱暴に、ただその性欲を満たすためだけに―――――……
飛鳥に突かれて、女は嬉しそうに喘いでいる。
「あっ…ぅ…」
思わず漏れた声に、私は口を手で塞いだ。
でも、そのまま自分の指に舌を伸ばす。
妄想の中の女が、飛鳥のものを美味しそうに舐めるように、何度も、舐める。
美味しい。
妄想の中の女が呟いた。
「ちんぽなら何でもいいんだろうが、このメス豚が」
飛鳥が暴言を吐いた。
うん、と女。
「飛鳥のちんぽがいいのぉ……」と私。
飛鳥が私を見た。
「せつら、お前のまんこにはもう飽きたよ。
こいつの方が締まるしな。
俺はもうこの女に乗り換えることにするよ」
酷い。
酷い。飛鳥。
そんな酷いこと、言わないで。
「待って、私なんでもするから!
捨てないで――――!」
「何でもするだって?
この女の方が俺の望みを叶えてくれる。
好きなことはなんでもやらせてくれるしな」
「何でもする、何でもするから!!」
「じゃあ俺がこの女とするのに文句をつけるな」
「え?やだ、やだ、飛鳥っ!
他の女となんてしないで―――――!!!」
「何でもするって言ったのは嘘か?
やっぱりお前は馬鹿だな。
話も合わないし。
もういい。
お前との婚約は破棄だ」
いっ、イクッ、イクッ―――――――――――!!!
飛鳥がまるでゴミを見るような目つきで、上から私を見下ろしていた。
どうしようもない妄想をしながら、私は懸命にあそこを掻き続けていた。
体中が震え、激しい痙攣が襲う。
びくんっびくんっびくんっびくんっ――――――――――――――――――――
頭の中が真っ白になる。
頭の奥が痛くなるほどの、快楽――――――――――――
体が震え続ける。
「あああっああああっ………あっ、あっ、あっ、あっ、」
あそこが壊れたかと思った。
溢れ、吹き出した。
まるでお漏らしをしてしまったかのように、溢れ出した。
止まらなかった。
気がつくと、布団がびしょびしょに濡れてしまっていた。
どうやら、私は初めて、潮を吹くという状態になったらしい……。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……、、、」
私は自らの激しいオナニーに必死に呼吸を整えながら、自らの体液にまみれた手で携帯を取った。
イヤホンはとうに耳から外れてしまっていた。
飛鳥からの返事は、まだ来ていなかった。
第45話:妄想
終わり