16時――――――
その日の夕方―――――、
悠理とメールで待ち合わせた、喫茶店。
その一番すみっこの席を陣取った私たちは、対面ではなく、隣り合わせで座っていた。
端から見れば、相当仲の良い女子高生に見えるに違いない。
話していた内容が内容だけに、近くが良かったのだ。
「萌、私たちの悠理はこんなえっちな娘になっちゃいました…」
「もう、せつらってば――――」
そう言って私たちは笑い合った。
「萌には絶対に秘密にしておきたいわけじゃないけど、
萌はすごい、なんか、食いつきそうだから―――」
「そうだね、デリケートな問題だしね」
「うん、正直言うと、せつらにも知られたく無かったけど……」
「私も知らない方が幸せだった、と思う。
でも知って良かった」
「そう…」
「あのね、悠理……、実は私も……、結構えっちな子に……なっちゃった……、、、」
「知ってるよ」
「え…?」
「だって、ずっと前、せつらが学校でしてるの見ちゃったもん」
「えええええっっっっっっっっ!?」
「しー、声大きいよ」
「あぅあぅあぅ、、、、それって、いつぅっ…!?」
「せつらに用事があったから探してたらたまたま、ね。
ごめん、覗き見るつもりじゃなかったんだけど。
せつらの方から空見先輩に抱きついてたから、驚いた。
いつもと全然表情違うし」
「あぅぁぅ><」
「そのあと自分からしゃがみこんだのは、もっと驚いたけど。
先輩に言われて、させられてるって感じじゃなかったから」
「あぅあぅあぅ…………………………………………………………………………
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………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………」
顔から火が出るとはこのことを言うのかも知れない。
まさか、見られていたなんて――――――――――――。
って、悠理に見られたってことは、もしかして、他の人にも見られた可能性も―――……!?
「せつら、すごい顔真っ赤」
「うん……。
多分今なら、顔で目玉焼き作れちゃう……」
「あはは(笑)」
もう私は殆ど破れかぶれで、素直に好奇心を剥き出しにして、聞きたかったことを口にした。
「ね、3人と同時にするって、どうなの?」
「――――、うーん…、どうって、凄い、よ、、、」
「ひゃー///」
あの悠理とこんな会話をすることになるとは、これまで夢にも思わなかったから、恥ずかしさ満点、ドキドキ満点、で、興奮が抑えられない。
「せつら、すごい聞きたそう」
「うー、分かっちゃう?」
「うんw
そうだねー、例えば、口元に3本押しつけられたり、とか」
「ひゃー///」
「挿れられながら、舐めさせられて、胸揉まれて」
「ひゃー///」
「出されたかと思ったら、またすぐに硬いのが入ってきて」
「ひゃー///」
「せつら、ちょっと落ち着こう…?
凄い挙動不審だよ?(笑)」
「む、無理ぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜/////////////」
悠理のあまりに過激な内容に、殆どばたんきゅ〜という効果音がでてそうなほどふらふらで、後ろに倒れこんだ私は後頭部をしたたか壁に打ち付けた。
ゴンッ、という凄い音。
恥ずかしくてテーブルに突っ伏した。
興奮と恥ずかしさで肉体が震えていた。
「せつら、大丈夫?」
「ほ、他には……?」
「え?w まだ聞きたいの?w」
「う、うん///」
「あとはー、言葉でもいっぱい、虐められる……」
「例えば……?」
「メス豚とか、肉便器とか、言われたり……」
「ギャー///」
「あとはー、おちんちん舐めさせてくださいとか、言わされたり……?」
「ガオー///」
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つ、疲れた……。
「せつら大丈夫?w」
「うん、なんとか…w」
げっそりとした私に比べ、悠理は平然としていた。
今、悠理は、どんな気持ちでいるんだろう。
萌なら、きっと今みたいな体験談を、単なる冒険譚として、嬉々として語るんだろうけれど、悠理は、本当は傷ついているんじゃないだろうか……。
本当は、どう、思っているんだろう……。
私の好奇心を満たす為だけに、聞いてしまっていい内容だったのだろうか……。
でも本当に私が聞きたかったのは、「悠理は他の男としても平気なの?」と言うことだった。
でも結局、私はその答えを聞くのが怖くて、最後まで尋ねることができなかった。
「飛鳥とね、アズマさん、親友なんだって」
「うん、知ってるよ。
それに空見先輩には一杯感謝してる。
私と黎が付き合う時に、かなり気を遣ってくれたみたいだから」
「え……、そうなんだ。
そんなこと私には全然言わないのに―――」
「でも空見先輩は私には全く興味はないよ」
「え?どういうこと?」
「あ、えっとね。そういうことじゃなくて。
空見先輩が気にかけてるのはせつらと、親友の黎にであって、私はおまけ、みたいな」
「うーん…?」
「あ、ごめん、ちょっと説明しづらいんだけど、
私結構大人しいほうじゃない?」
「うん」
「それで、なんていうか、その人が表面上で話してるのか、
心から話してるのかどうかってなんとなく、分かっちゃうんだよね。
あ、それが私が大人しい所為かは分からないけれど」
「うん」
「それで、空見先輩って、私のことはどうでもいいって思ってるけど、
私がせつらの友達だから、親友の黎の彼女だから、
それだけで気にかけてくれる、っていうのが分かっちゃって。
あと黎も、本当に私のことを好きでいてくれる。
ちょっと性欲旺盛で、変態なだけで、とても優しい人……」
「ごめん。私、正直に言う。
私、今まで、悠理のことまだ子供っぽいって思ってたけど、
私の方が全然子供だった……」
「変わらないよw」
「そういえば、記憶を失う前のせつらは、もっとなんかこう、超然としてた気がする…」
「超然と?」
「うん、でもあれはみことがいたから、かも。」
「みこと…?」
「せつらはね、なんか常識知らず、世間知らずのお嬢様って感じだった。
無垢で、純粋で、綺麗で、優しくて、それでいて荒っぽくて。
今だから、私も正直にいうけど、
ずっとみことの傍にいたのは私なのに、あっという間に取られちゃって、
ちょっと寂しかったよ」
「ごめん………」
「でも今のせつらは、凄い可愛くなったw」
「え?w」
「空見先輩のお陰だねw」
私たちはそれから5時間もの間、飽きることなくひたすらに喋り続けていた――――――――。
第46話:猥談
終わり