「もう、黎さんに話してるなんて酷いよ、悠理!」
『あはは、ごめん。
でもなんとか上手くいったみたいね?』
「も―――――――――――――――――――――!!!
大変だったんだからぁああああああああああああ!!!」
『あははは(笑)』
「笑い事じゃないよ……」
『ごめんごめん。
それで、例の件なんだけど、こっちはいつでもいいから、
飛鳥さんとせつらの都合がいい時で、』
「うん、分かった……」
『せつら、大丈夫?』
「悠理こそ、大丈夫?」
『私はほらー、もう何人もしちゃってるし……。
今更かなぁって気がするし……。
勿論、黎が他の女の子とするのはすごい嫌だけど、
相手がせつらならいいかなって……』
「うー、、、」
渋っては見せるものの、私の中ではもう、殆ど覚悟は決まっていた。
勿論、私は他の男とヤッてみたいなんてこれっぽっちも思ってない。
覚悟を決めたのはそんな理由じゃない。
私は飛鳥だけいればいい。
飛鳥だけいればいいから―――――こそ、だ。
飛鳥とはちゃんと話し合った。
ちゃんと話し合えて、私はしたくないと、きっぱりと言った。
これは、その上での結論なのだ。
ただ悠理と同じように「飛鳥が他の子とするのは嫌だけど、相手が悠理ならいいかなぁって」とはとても思えなかった。
私だけして、飛鳥は見てるだけ―――…とかではいけないのだろうか。
悠理が飛鳥のもので気持ちよくなるなど、考えただけで狂いそうになる。
彼が私以外の女で気持ちよくなるなど、考えただけで狂いそうになる。
でもそれはきっと皆同じで。
それが分かっていて、事に及ぼうと言っているのだ。
むしろ多分、そんな感情を求めての行為なのだ。
それはどう考えてもアブノーマルな行為で。
不道徳で、
背徳的で、
気狂いじみた快楽を求めている行為で…………
終わった後は二人の愛がより深まるらしい――――、とか言われても、
普通に考えて、決して経験する必要など無い行為のはずで。
それに私が隠していた願望を飛鳥が知っていたことで、
今回の計画が、彼自身が本来望むところなのか、それとも私のことを思ってのことなのかが、結局分からなくなってしまった。
「私って輪姦願望あったんだなぁって―――……」
以前、そう呟いた悠理を思い出す。
輪姦願望を持つ女の子というのは意外と多いらしい。
もともと男より女の方が精力旺盛なのだ。
セックスに対する持続力も快楽の大きさも、男とは段違いに違う。
けれどそれはあくまで願望であって、妄想に過ぎないのであって、
私は決して、現実にそんな状況を望まないし、そんな状況で感じられるとも思えない。
むしろ飛鳥以外の男に犯されるくらいなら舌を噛みきって死んでやる、くらいに思う。
その時は確かに「私もあるよ」と答えたけれど、彼女に全て話したわけじゃなかった。
私の輪姦願望。その相手は全て飛鳥なのだ。
私のあそこに挿れるのも、口に咥えさせてくるのも、全部飛鳥なのだ。
見知らぬ男をのものを――――――と、一度も妄想したことがないといえば嘘になるが、それもまた妄想の飛鳥に命令されてやったことで―――――、私の性的願望は全て飛鳥へと繋がっているのだ。
飛鳥にしか繋がっていないのだ。
そして今――――、妄想ではない本物の飛鳥が、したい、と言うから―――――……
私は今、非常識で、不道徳な、変態的行為に足を踏み出そうとしている。
一度経験してしまえば、二度と戻れない、その道へ………。
でも、彼と一緒なら。
たとえそれがどんな道であっても、彼と一緒に歩けるなら―――――……
彼が決して私の手を放さないでいてくれるのなら――――――――――…
第48話:告白
終わり