深夜2時を過ぎても、連絡はこなかった。
私は床に座って、携帯電話を眺め続けていた。
もう何十通も、もしかしたら100通を超えたかも知れないメールを飛鳥に送信している。
返事が来ない。
お父さんが買ってきてくれた夕食も喉を通らず、私はただ携帯と格闘を続けていた。
涙が出てくる。
もう何度溢れたか分からない、涙。
ずっと心が苦しい。
いっそ眠ってしまえたら楽なのに。
そしたらきっと、起きた時には何もかも元通りになっていて、
飛鳥から「飲み会で酔っ払っちゃったよ、ごめん」とか、メールが入っていて。
そしたら、私はいっぱい怒るんだ。
いっぱい怒って、許さない。
いっぱいいっぱい甘えさせてくれるまで、絶対に許さない。
飛鳥――――、貴方はなんて言おうとしたの?
ごめん?
過去?
過去を忘れないで?
過去を思い出してくれ?
黎とあんなことした私は、もう過去のことだって言いたいの……?
それとも愛の告白?
もしかして、もうすぐ私の誕生日だから、何か用意しようとしてくれて……?
ごめんせつら、格好をつけて――――………I LOVE YOU……とか?(笑)
飛鳥、私は過去なんて要らないよ…。
記憶なんて欲しくない。
昔のことなんてもう思い出せなくたっていい。
ただ、貴方がいれば、
貴方との未来があればそれでいいんだよ――――――――――――――……
苦しい。
悲しい。
辛い………。
こんな辛いなら
飛鳥
お願い
早く
わたしに連絡をください……………。
私は一睡もせず、ただ携帯を眺め続けていた。
それが着信に震えたのは、翌日の昼、14時を過ぎた頃―――――――――――――…
第51話:明けぬ夜
終わり