彼が亡くなったのは8月の終わり―――――――…
時は既に10月を半ばを過ぎていた――――……
あれから一月以上もの時が流れていた。
私が何よりも一番先にしなければならなかったのは、
掃除でも洗濯でも家事でもなく、体力を戻すことでも、勉強をすることでもなかった。
それは溜まりに溜まっていた悠理からのメールだった。
最初だけほんの少し見たけれど、悲しみに押しつぶされていた私はろくに返事もしないまま携帯は放り出してしまっていて、電源はとっくの昔に切れていて……。
彼女はずっとずっと、自分を責め続けていた。
私に、謝り続けていた。
私に、赦しを請い続けていた。
自分の所為で飛鳥を死なせてしまった、ごめんなさい、と………。
「うううっ――――――……ううううっ……
ううううううっっ……うあああっっああっ……ああああ――――――」
私は後から後から入ってくるメールに涙を堪えきれなかった。
私はなんて残酷なことをしてしまったのだろう。
なんて身勝手な態度をとり続けていたのだろう。
この1ヶ月でどれほど彼女の心を傷つけてしまったのだろう………。
悠理、ごめん。
男たちに乱暴され、目の前で黎が殺されるのを見た貴女の方が、
私なんかよりもずっと、ずっと辛かったはずなのに、
その上に飛鳥の死の責任まで感じさせて―――――――――
ごめん悠理。
ごめん、
ごめんね、
悠理、ごめん――――――――――――――………
私は、悠理の住所を調べ、直接彼女を訪ねた。
そして、何度も何度も謝った。
彼女はとても痩せこけていて、
飛鳥を死なせてごめんなさいと、平謝りする彼女の姿に、
私は悲しみを堪えきれなかった。
私はずっとずっと悠理の友達だから―――――――
こんな私でよければもう一度………
友達になってください――――――――――――――
彼女は優しく、私を包んでくれた――――――
第57話:請赦
終わり