父はまるで、何かに取り憑かれたかのように、私を攻め続けた。
私は促されるままに体位を変え、そして4度もその精を受けた。
変わらないよ
何も変わらない
例え相手が誰であっても
これは仕事だから
いつものように
お金を貰って、その対価に、身体を使われているだけだから―――――――
「先に会計は済ませておくから……。
明日のお昼の12時までにチェックアウトすればいいから……………」
そう、ぼそりと呟いて男は出て行った。
その声は酷く擦れていて、震えていて、その声の主が本当に父だったのか分からなかった。
私は結局一度も目を開けず、男の姿を見なかった。
完全に部屋の中から人の気配が消えてから、ようやく私は目を開いた。
見慣れぬ天井。
ここが先ほど見た、豪華なホテルの一室であることを思い出す。
時計を見ると20時を少し回ったばかりだった。
もっともっと長い時間―――――……、何時間も、攻められていた気がする……。
「お客さ〜ん、まだ2時間ありますよぉ……」
誰もいない部屋で、私は独り呟いた。
「あの〜……、お金貰ってないですよぉ…………」
そう呟いて、私はふと今日の稼ぎは幾らになるのだろうと思った。
幾ら請求すればいいのか、分からなかった。
生で4回、しかもそのうち3回は中出し――――――………、
未だかつてそんなオプション料金つけたことがない………。
『生で3回も中に出された。しかも、やり逃げされた』
私は寝そべったまま萌にメールを打つ。
暫く待ったけれど返事はなかった。
もう学校が終わってから8時間経っている。
彼女はまだ篤志と遊んでいるのだろうか。
少しは恋人らしいデートはできたのだろうか。
もしかしてずっとデートをして、今頃からえっちをしているのだろうか。
そういえば今日はクリスマスイブだったんだ―――――……
なら少しくらい、聖夜の奇跡を期待してもいいよね――――――……
願わくば―――――……、篤志が、萌のことを真剣に好きになってくれますように………
カラカラに乾いた喉を潤したかったけれど
起き上がるのも面倒で
私は膣に3回分の父の体液を収めたまま、静かに眠りに落ちた―――――――……
第62話:イヴ
終わり