私と父の関係は何もかわらなかった。
これまでと同じ。
会話の無く、ただ一緒の家で寝起きするだけの、同居人。
ただ、あれ以来、一言も言葉を交わしていない………。
だってどうしていいのか分からなかったから……。
もしかしたらそれは父も同じだったのかも知れない。
怒りたいのか、怒られたいのか。
少なくとも私の中に、父を責めたいという気持ちは無かった。
どちらかといえば嬉しくさえ思っていた。
父の役に立てたことに。
死なないでいて良かった、とさえ思えた。
それでも多分、私は一つだけ願っていたと思う。
一言だけでいい…、
父に謝って欲しかった―――――――――………
ただ一言、ごめんと言ってくれれば、それだけで全部許せた、と思う――――――……
女子高生を金で買おうとしたことも、
娘を抱いたことも、
中に出したことも、
そして………
私を叱らなかったことも、
何かも―――――――――――――……
しかし、父は一言も話しかけてはくれなかった。
そんな父の態度に、私は若干の怒りを感じ、しかしそれはすぐに呆れにかわり、そして最後は無関心へと変わった。
この感情を無関心と表現していいのかは分からない。
とにかくそれは―――もうどうでもいい―――といったような感情で、
だから私は責めることも、そして負い目を感じることもなく、
そう、だって、私たちは家族で、
もう僅かな関心さえ抱けないのだとしても、
たとえ謝罪の言葉なんかないのだとしても、
それでも、
たった二人だけの家族だったのだから。
冬休みに迎える年の瀬。
私はあのイブの翌日から家に籠もるようになっていた。
誰と会う予定もなく、なんの予定もなく、家に引き籠もっていた。
営業用の携帯も、プライベートの携帯も、手にしなかった。
誰かと会話すること自体が、意志の疎通を図ること自体が億劫だった。
くだらない、中身のないテレビ番組を、何も考えずに見続けるだけの生活。
最初は何かを考えてた。
でも諦めた。
だっていくら考えても、悩んでも、どこまでいっても、いつまで経っても、
思考はもぐちゃぐちゃなままで、一切の形を伴わず………
だから、もう、考えるのは、やめた。
何が面白いのか、何がつまらないかも分からなく、
もはやその内容すら理解せずに、
私はただ、テレビの前に座り続けていた――――――――――――――――――