「よく、わかんないな……」
「うん。私たち、2年も離ればなれだったし」
「そう、だな」
「だから、2年分、愛しあお?」
「え―――?
うわっ、ちょっ――――ちょっ!?
やめっ――――――っ@#”%!$’”」
みことが俺の服を脱がそうとし、俺は慌ててベッドの上から逃げ出した。
彼女がベッドの上から物欲しそうな顔でこちらを見ている。
「俺たちって……、そういうこと、する関係だったわけ――――?」
「んーん。
まだキスだけ……」
彼女は少し寂しそうに言った。
嘘をついているようには見えなかった。
それに俺は確かに処女だった。
もっとも、たとえその先をしようにも女同士なわけだ、が――――――。
とりあえず、今のところ彼女の言うことは俺の記憶と矛盾しない。
「そ、そうなんだ……」
「でも、私は、もっとせつらさんが欲しかった」
「う…………」
彼女の潤んだ目は明らかに、愛しい人を見るそれだった。
「せつらさんは、私のこと好き?
キスはしてくれても、好きってちゃんと言ってくれたことなかったんだよ……」
「それは………」
覚えていない少女。
記憶にない少女。
だから彼女とは今日出逢ったばかりのはずで。
でもこの気持ちは、胸の高鳴りは、
嘘の吐きようがない。
俺は明らかに、彼女に特別な感情を抱いている―――――
頭では理解できなくても、拒否していても、
俺は彼女のことが―――――
「多分、好き――――……、かも……」
「じゃあ、キスしよ」
「いやっ、でも……、悪いけど、覚えてない――――……し……」
「キスすれば思い出すかも」
「う……」
みことがベッドから降りてくる。
俺は思わず後ずさり、また、後ずさり、しかしすぐに壁にぶつかり、逃げ場を喪った。
彼女がゆっくりと近づいてくる。
だめ。
だめ。
そんなの、駄目。
その唇が迫り―――――――
(助けて、飛鳥――――――――――――――――――――――!!!)