御巫の家に来てから4日目――――――――――――





一通りの基礎修行を終えた私も、今日から他の巫女さんたちと一緒に修行することになった。
が、再びあの意識を失いかけた極寒の地へ行くことを思うと、例え意味が分からなくても写経でもさせられた方が幾分もマシに思えた。

だって寒い。
ただでさえ冬で、山頂で寒いのに、しかも外は雪なのに、どうしてわざわざ吹き晒しの間を使うのか理解できない。
体を鍛えるということと、痛めつけるというのは絶対に違うと思うのに。


そう、みことに言ったら、極限状態になって初めて見えるものがあるのだと言われた。
身近な例を挙げるなら、鼻づまりを起こした時、それまで呼吸をしていたことを意識したり、病気になってから健康の大切さを学んだり、失くしてから初めてその人や物の大切さに気付いたり―――――、普段当たり前のように捉えている出来事も、異なる環境、立場、角度にたってから初めて分かることもあるのだという。まあ、それは私にも分かるけど。
特に寒さは肉体の活動を停止させ、意識と肉体を切り離すのに都合がいいのだと言われた。
精神こころは肉体の状態に容易く引き摺られてしまうから、精神を鍛えるにはどうしても肉体を極限状態に置く必要がある、らしい。そして一度精神と肉体を乖離させることによってより一層、心と体の調和がなんたらかんたら――――――……、、、、、



最後にみことはこう付け加えた。



「でもそんなことはどうでも良くって―――、
 せつらさんに本当に識って欲しいのは、せつらさんが持っている鬼について、だよ」



みことにそう言われて初めて、私はこの不可思議な力に一切向き合ってこなかったことに気付いた。私が召喚、使役、あるいは取り憑かれているこの力の正体が一体なんなのか。
どこから来て、なぜ私に宿っているのか。

先日、フラッシュバックし凄まじい嫌悪感を抱かせたこの力の源が一体なんなのか―――――――――………

確かに、私は向き合わなければならなかった。





修行……?
みことだって普通にやっているんだから、私にだってできるはず……、なんて考えはもう私の中には無かった。

私は今、向き合わなくてはならない。
自分の背負っているものと。





だから、私はこうしてその機会を与えてくれたみことに感謝した。






























うーん。。。。

巫女さん。。。。。


巫女さん巫女さん巫女さん……、確かに、巫女さんなんだけど―――……





でも、そこににいるのは、私とみこと以外全員男で――――――……





下着も着けず、白衣一枚だとやっぱりとても恥ずかしい。
まあ、それ自体、雑念なんだろうけど。





でも、私がそんなことよりも遙かに気になっているのは、





恐らくこの中の誰かと――――――……





みことが房中術の修行をしたはずで………





ということで………。










しかも相手は……、
みことは私だと思って尽くした・・・・・・・・・・らしいから、相当熱烈な愛撫を受けたはずで………、、、。



うううううううっ……、



それを思うと私の心は、嫉妬心から乱れに乱れて、非常に複雑な思いで、



みことだって、一度肌を重ねた相手がいたら平常心じゃいられないと思うんだけど……





うーうーうー。。。





修行というからには一度で終わらなかったかも知れない。



何回にもわたってしたのかもしれない。



もしかしたら、ここにいる巫女たちはみんな、みこととしたのかもしれない。



一体誰としたのか訊きたい。
誰を相手にしたか訊きたい。

でも訊いてしまったら私は気持ちを抑えられないかも知れない。

鬼の力でも何でも使って、その存在を抹殺して仕舞いかねない。










この狂おしく燃えさかる嫉妬の炎を消すために―――――――――






























にしても実の孫娘に、両親だっているのに、いくら巫女のための修行とはいえ、そんなことをさせるなんて、宗教ってほんと怖い………、、、


あれ―――?
でも、たしか、みことがここへ来た時って―――……

征関で集団レイプされた直後のはずじゃ―――…………





あ、じゃあ、もしかしたら修行っていても、ほんとはその治療の為だったり――――――とか……!?





うーん………





う”〜〜〜〜〜〜ん………










どうなんだろう....




















正直言って、私の心は穏やかじゃなかった。





むしろ、意識が浮き彫りにされているからこそ、
殆ど思考だけの状態になっているからこそ、余計考えてしまうのだった。










まあ、恐らくこういう自分の中の気持ちと向き合うことも、修行の一環なんだろうけど……










いくら雑念を払おうと思っても――――――、、、










あとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとからあとから




















うううううううううううううううううううううう――――――――――――
しんとーめっきゃくしんとーめっきゃくしんとーめっきゃくううううううううううううう!!!!!!





むがのきょうちいいいいいいいい―――!!!





むがのきょうちいいいいいいいい―――!!!










むがのきょうちいいいいいいいい―――!!!


















































はぁ………、、、 気になる、、、、



















































そうして一日が終わり、










そしてまた次の日が始まって



















































第92話:修行
終わり

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  第93話:御神体
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