日が沈み、夜になり、そしてまた朝になった。
俺はひたすら山の中を進み、輪光へと向かって歩き続けた。



足が重たかった。
舗装された道路の上ならともかく、積もった雪の上を歩くのはただでさえ重労働だった。
既に靴の中には雪が入り込んで足の感覚を奪い、一歩一歩踏み出すのさえ、一苦労だった。

とにかく寒く、そして腹ぺこで、なにより眠たかった。

上空から尾けてきていた識神はいつの間にか消えている。
だがすぐ後ろに座主坊たちが迫ってきている気がして、とても眠るわけにはいかなかった。

無論、寝ようと思っても寝る場所すらないのだが……。










凍てついた空気が俺の肉体から熱を奪っていく。
いくら<鬼>を纏っても寒さを和らげることはできなかった。



「はぁっ―――はぁっ―――はぁっ―――………」



半月間の間、規則正しい生活をした所為で体調はかなりいいはずだった。
でももう極限状態だった。

羅城せつら、この少女の肉体では体力が少なく……。

通常、女は男より寒さに弱い―――が、極限状態では脂肪が多い分女の方が強いんだったけかな―――などととりとめのないことを考え、俺はただ山中を歩き続ける。



寒さと痛さしか伝えてこない肉体は、既に意識と乖離しているようにも思えて。

それでも諦める、という選択肢はただの一度も俺の中には浮かんでこなかった。
これも修行だと思うと、少しだけ体が軽くなるのを感じる。
御巫の家での修行が役に立っているのかも知れない。





しかし現実的に、俺は指さえ動かせず、





食料も、睡眠も、暖もとれない体はもう限界で――――――………






























俺は遂に一歩も歩けなくなって、その場に倒れ込んだ―――――――――





寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、――――――――――――………





俺の体は、もう完全に、その芯の芯まで冷え切ってしまっていた。










意識は朦朧として………、




















野垂れ死ぬぐらいなら、鬼喰らいの連中と正面からぶつかれば良かったと、今更になって後悔した。
俺の魂はともかく、みことを狙っているやつらを残して死ぬわけにはいかなかったのに―――………。





馬鹿だな、俺は―――………、、、




















嗚呼―――、、、




















眠い――――――………


















































誰かが私の手を取った。
そして私の手に何かを握らせる。



これは………



(おちんちん……?)



目を開けると、飛鳥が私の手をその股間のものに添えさえていた。


それは硬く、熱く、情欲に滾っていて―――――――――………

亀頭を真っ赤に腫らし、その先から汁を滲ませて、




それは私に欲情し、私を求めている証。




「ふふっ、飛鳥ったら、こんなにして……、したいの―――……?」

「ああ、なんだ、せつらだったのか。
 メス豚がこんなところで股を拡げて寝てたから。
 犯して欲しいのかと思って」

「はぅ。いいよ……」

「いや、せつらならいいや、お前のまんこはもう使い飽きたし」

「え……、飛鳥、待ってよ………。
 そんなこと言わないで……、挿れてよ……」

「なんだよ、お前のきたねーまんこなんかに突っ込んで、
 俺に一体何のメリットがあるんだよ」



勿論それは彼の本心ではない。
そういう、ちょっと変態的な、えっちなプレイ。

好きな人に虐められると感じてしまう私を喜ばせるための。



「ごめんなさい、、でも、飛鳥のおちんちん欲しい……。
 何でも言うこと聞くから、お願い。
 何でもするから、お願いします………。
 私のまんこ使ってください……」

「じゃあ思いきり股開いてオナニーしろよ。
 淫乱らしく必死に掻いてみろよ。
 気に入ったら挿れてやってもいいぜ?」

「そんな―――…、、、」



そんな、飛鳥の前で、オナニーをするなんて………。
とても恥ずかしい。
でも体が興奮してやまない。

彼に見られたい。
彼に見られて、死んでしまいたいほど恥ずかしい興奮の中で、はしたなくイッてしまいたい。



「は、はい……」


私は恥ずかしさを必死に堪え、飛鳥の前で股を開いた。
それから指を伸ばして陰唇に触れる。
既にそこはしっとりと濡れ、自分から口を開いていて。


「ああっ―――ああっ―――ああっ―――………
 いやっ、飛鳥、見ないでっ………」



私がそう言うと、飛鳥のちんぽが萎んでいった。
それからつまらなそうに立ち去ろうとする。



酷い、酷い、酷い―――、飛鳥、酷いよ―――………、、、
私にこんな恥ずかしい真似させておいて、見てくれないなんて―――!!!



「飛鳥ぁあああっ、見て、お願い、私のはしたない姿、見て、
 私、あなたのことを思って、いつもこうして自分でまんこ掻いてるんだよ……・。
 飛鳥のおちんちん想像して、、、、
 飛鳥のおちんちん欲しくて、いつもこうして―――!!!
 飛鳥、飛鳥、飛鳥、おちんちん頂戴、おちんちん頂戴よぉぉ――――――!!!」

「実はさっきから隠しカメラで全部撮ってるんだ」

「え?」

「この映像全部ネットに流してもいいなら、ちんぽぶち込んでやってもいいぜ」

「いいっ、いいっ、流してもいから!!
 それでも飛鳥のちんぽ欲しい!!
 私のはしたないまんこにちんぽぶち込んで――――――
 飛鳥のちんぽでガンガン掻き回して!!!」





ああっ、イクッ、いくっ、いっちゃう、

飛鳥に見られながら、私、、、

すごいのっ、いっちゃうの、いくぅう――――――!!

飛鳥っ、飛鳥っ、飛鳥っ、

だめっ、いくぅぅッッ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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気付くと体が温かかった。
ぽかぽかとして、どこか熱気さえ、感じていた。


意識が戻るにつれ、急激に冷気を感じた。
途端に全ての熱が引いていく。




俺は―――――――――………




下半身が熱かった。熱く、疼いていた。

腕を動かすと、あそこに刺激が走った。


どうやら俺は、微睡みの中で自家発電・・・・したらしかった………。


とっさに周囲を見回し、神経をとがらせ、鬼喰らいの気配を探る。
こんな痴態を見られなかったことに、俺は心底胸を撫で下ろした。



と、同時に頭を抱えた。



全く――――――………、、、



せつらってばなんでこんな変態に育っちまったんだか――――――










俺は立ち上がり、再び雪山を歩き始めた。


















































3日目になって、俺はついに山から出て、舗装された人工の山道へと足を踏みれた。



ほんの10分ほどで、黒いバンがやってくるのが見えた。
俺は、心底深い溜息を吐いた。



運転席から小童谷が現れる。



「せつらちゃん、なにしてんたん!?
 えらい時間がかかったやないか!!!
 ほんま待ちくたびれてしもたでぇ―――――――――………
 でも今度は、今度こそここで終いや。
 せつらちゃんのために特別強力な結界を用意してきたからなぁ―――――――――!!!」



「はは、ストーカー…マジきめぇ……」



小童谷が印を結ぶと、俺の中から、<鬼>の力が完全に消失した。



後部のスライドドアが開き、座主坊が飛び降りてくる。
股間を丸出しにしたその姿は、中で何をやっていたか一目瞭然だった。

あの二人の女とよろしくやっていたのだろう。

俺が必死にこのクソ寒い山の中を歩いてきたってのに、こいつらは………。

かくいう俺も、暖を取るためとはいえ何度も自慰に耽ったから、あまり堂々と他人のことを言えないが。





「呂久斗―――!!
 せめてズボンあげてからでてこいや―――!!」

「へへええええ、どうせまたすぐに突っ込むんだぜええええ―――!」

「まあええわ。結界は発動させたで――――――!!
 いっきにかましたれや!!」





「確かに強力な結界みたいだが―――――――――……」





俺は真っ直ぐに突っ込んできた座主坊を思いきり殴り返した。
反撃に巨漢は全く反応せず、何メートルも地面を転がった。

<鬼>の力でも耐えられなかったのか、歯や顎の骨を砕いた感触があった。



「く”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”―――――――――ッッ!!!」

「なんや!!?
 どないなってん!!?
 なんで、鬼を降ろせるんや――――――!?
 この結界は俺ら自身の能力も、完全に使えんくらい強力やのに――――――!!!」

「なるほど、そういうこと、か――――――」



じゃあ俺は普通の人間を思いきり<鬼>の力で殴っちまったわけか。
それは悪いことをしたな。
座主坊くん。


どうやら小童谷は俺が単独で行動していると判断し、自分たちごと異能の力を封じ込め、誰もが力を使え無くした上で、4人がかりで俺を捕らようと考えたらしかった。







だが――――――、俺は羅城道孝だっ――――――!!!!!







確かに、奴らの言うとおり<真名>は効果覿面だった。

俺が俺を自覚している、ただそれだけのことで、力の顕現はこうも違うのだから―――!!!





バァン――――――――――――――――――――――――――――――――!!!
バァン――――――――――――――――――――――――――――――――!!!
バァン――――――――――――――――――――――――――――――――!!!
バァン――――――――――――――――――――――――――――――――!!!





突然、体中に激しい衝撃が走った。
あまりの突拍子のないことに反応できなかった。

黒いバン、開かれたサイドドアの奥から狙撃されたのだ。

しかも普通の口径ではない、やたら特大の――――――――――――


防御せずに受けた直撃に俺は激痛を感じた。

それでも辛うじて生身の肉体に損傷はない、が―――――――――<腕>の消失を感じた。


もし鬼を纏っていなかったら、と思うと背筋がゾッとした。





(こいつら!!!
 もうなんでもありかよ―――――――――!?)





こうなったら殺られるまえに殺るしかねぇえ――――――!!!


俺は激痛を押し殺し、一気に距離を詰めた。
すぐ目の前で、小童谷が真剣を抜いた。





俺ではない。

俺の中の<鬼>が警告を発した。

どうやらかなりやばいモノ・・・・らしい。





それはこの世在らざる物を斬る為に造られた刀。
磯姫が持っていたものや、御巫の家でもお目にかかった。





(妖刀か―――――――――!!)





だが小童谷は今<鬼>を降ろしてはいないはず。
ならその力は生身の人間。
対してこっちは<鬼>。


どんなやばい刀だろうが、当たらなければ問題は――――――ない!!!










しかし、次にバンから躍り出た二人の女の肩に担がれた特大の機関銃に、俺は目を瞠った。





その砲身が回転を始めたのを見て、俺は咄嗟に身を翻した。










(くそったれが―――――――――――――――!!!)



















































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