私は大地の向こうへ沈もうとする夕日を追うように、ただ歩いた。
体の節々が軋んで、痛んで、すぐに関節とお腹が痛くなった。
それでも歩いた。
夕日は早すぎて、私が追いつく前にあっという間に沈んでしまった。
私行く当てもなく、そのまま歩き続けた。
私はただ歩き続け―――、そして不意に、海が見たいな、と思った。
だから左へと方向を変え、歩いた。
南へ。
ただ、南へ。
そこから海にでるまで、どれくらいかかるかは分からなかったけれど、それでも歩き続けた。
『お前には本当に感謝している。
気高き魂を持つものよ―――
譬え自刃しようともその魂は必ず天へ招かれることを約束しよう―――』
そっか……、
あの女は、
私がこうすることも、最初から分かってたんだ……、
もう何もかもお見通しだったんだ………
気高き魂かぁ……、
あは…、
ちょっと嬉しいかも―――…………
足が重い。
海はまだなの。
そういえばこうも言っていた。
『彼はこの私が必ず幸せにする――――――』
きっと彼女は本当に、心から彼を愛しているのだろう……。
だからこんなことをしたのだ
そうに違いない
なら―――……、
ほんとうに彼が幸せになってくれるのなら―――、
私はもうそれで―――――――――……
辺りはもう完全に真っ暗で―――……、、
海が見えたのは、東の空が白み始めた頃だった―――……
「ちゃんと約束は果たしてよね―――……、サラさん―――」
第59話:海
終わり