「えっと―――、これってどいう状況……?
一体何が―――……」
私は目が開かないまま、突然の来訪者に驚いていた。
そして――――――、
「え? きゃああああああ――――――!!!」
私は裸だったの思いだし、急いで風呂場へと向かった。
シャワーの蛇口を捻り、顔を洗う。
目に入った異物を洗い流す。
「はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――」
熱がある所為で、呼吸が苦しい。
「ね――――――せつらぁ〜〜? このオッサンなに―――?」
部屋の方から薫くんが訊ねてくる。
「えと…………、、それ……、は……、、、はぁっ―――、はぁっ―――、」
でも、私はもうふらふらで、呼吸が苦しくて声も出せず、
浴室の壁に手をついてなんとか体を支えようとして―――、
その場に倒れ込んだ。
「せつら、せつら、しっかりしろ―――!
おい、なんだよお前、凄い熱あんじゃねーか!!」
「はぁっ―――、ごめん、悪い、、んだけど……、布団まで、、、運んでくれる―――?」
「ああ」
薫くんが私を抱えあげ、一度脱衣場で降ろした。
タオルで私の体についた水滴を拭いてくれる。
それから髪の毛も。
私の髪は長くて一度濡れると乾かすのが結構大変だったりする。
薫くんに直に裸を見られているのに、でもそんなことを恥ずかしがっている余裕は私にはなかった。熱の所為で呼吸が苦しい。
急いで、それでも丁寧に拭いてくれたのが分かった。
それから布団を敷いて、私をその上にそっと寝かせてくれた。
「あのさ、すげー辛そうなとこ悪いんだけど、このオッサンはなんなの?」
私は懸命にドアの方を指さして、
「捨てて」
なんとかそれだけ言った。
熱い―――、体が熱い―――、そのくせ肌の下には強烈な寒気が走る。
吐きたい。
凄い、気持ち悪い。
なんか、もう、死にそう―――…
そっか、私、もう死ぬんだ――――――
「せつら、何か作ろうか?それとももう寝るか?
どっかに風邪薬おいてあるのか?
あ、病院連れて行ったほうがいいか?」
私は首を振り、目を瞑ったまま腕を伸ばした。
彼がすぐに握り返してくれた。
暖かい
とても
温かい
ああ―――……、
なにこれ、ねぇ、すごく、あったかい、あったかいよ―――、薫くん―――……
まるで彼の温もりが、優しさが、愛情が、私の中に直接流れ込んでくるかのようだった。
「抱いて」
「え?」
「はぁっ、はぁっ―――、あの時、、みたいに、、、抱いて、て―――」
「いいのか?」
「お願い……、、」
薫くんが、服を脱ぐ。
熱くなった目では見れないけれど、分かる。
そして私の布団の中に入ってくる。
触れあう、素肌。
私を抱き寄せ、抱き締め、包んでくれる―――、腕。
私とは違う、少し筋肉質な―――、硬い―――、胸。
それだけで、とても安らげる、落ち着ける―――、ぬくもり。
私を愛してくれる感情が―――……、私を癒してくれる―――……、、、
熱いのが、
他にも―――、、、
硬いモノがお腹にあたっている。
とても硬くて、熱い、モノが…………。
私はそっと手を伸ばし、掴んだ。
「お、おい、せつら……?」
私は、ゆっくりと、それを手のひらで舐る。
「はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――、」
「ちょ―――……、せ、せつら……」
彼が両腕を深く回して私の体を強く抱き締めた。
何度も何度も、
それから、唇を私に押しつける。
「はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――、」
求められる唇に私も必死で答えた。
「せつらっ、せつらっ―――……」
彼が腰を揺らし、私に押しつけてくる。
私の手に、腹に、硬いモノを押しつけてくる。
入りたがっている。
彼が、私の中へ、きたがっている。
「はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――、
いいよ、きて―――、」
何度も、何度も、何度も、激しいキスを交わしながら、私は言った。
彼はすぐに入ってきた。
「ああっ―――!!! ああっ―――――――――!!!」
それはまるで断崖にぶち当たって弾ける波のように激しかった。
「ああっ、あぁっ、ああぁっ、、、、あああっ、あああっ、あああっ、」
彼が入ってくる度に、溢れる快感に、喘ぎ声が抑えきれない。
激しい、とても、激しい―――……、、、
体を抱かれ、押し開かれ、その奥まで愛されている。
高熱と快楽に、意識が赤と白に明滅し、もうわけがわからなかった。
「はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――、はぁっ―――、」
「ああぁっ、はぁっ、ああっ、ああっ――――――」
「愛してる、愛してるよせつら」
「私もっ、私も好き、薫くん――――――!!」
「うおおおおおおお、だ、駄目だっ、もういきそうだっ、せつらっ―――!!」
「私も、私もっ―――――――――、中に、」
「え―――!?
中っ―――ちょっ―――足っ―――!!!
だ、駄目だっ、イク、イク、イクッ――――――――――――!!」
「ああぁっ、ああああああああああああああああああああああああああっ―――!!!!!」
腹の中にぶちまけられた熱いものに、私は絶頂に達した。
白い、どこまでも真っ白に染まった意識に、堕ちていく――――――……
「はぁっ―――はぁっ―――はぁっ―――はぁっ―――…………」
熱い、熱い、熱い―――……。
薫くんがどっと、隣の畳にその体を転ばせた。
私たちの荒い息が、狭い部屋に響いていた。
「はぁっ―――はぁっ―――はぁっ―――はぁっ―――…………」
私は目を瞑ったままそっと手を伸ばした。
が、届かない。
彷徨う私の手を彼が掴んだ。
違う、
違う、
私は彼の手から逃れる。
そして彷徨う手―――、
彼が腰を突き出し
私はそれを掴む。
「くち……、、、に―――、、、、」
私の手の中で、彼のモノがむくむくとその硬度を取り戻す。
彼はいまも荒い息をつきながら起き上がり、私の枕元に座り込んだ。
私は突き出されたその先にちろちろと舌を伸ばす。
精液と、自分の体液に塗れたそれに―――…………
「おいし……」
彼は何も言わず、黙ってそれを私の唇の上に置いてくれていた。
「すーはー、すーはー…………」
時折彼が腰を揺らし―――……、
その度に私は舌で応えながら―――…………
私は、
心地よい―――……、
静かな、眠りについた。
第64話:訪問者
終わり