やがて重厚な扉が開き、通された場所は大きな、とても大きなホールだった。
ここが地下にあることを考えれば、その広さはあまりに異常だった。
そこにあったのは、部屋全体を煌々と照らしている強い照明と、他へ繋がるドアがいくつかだけで、絨毯も敷かれていなければ、ただ一つの調度品もなかった。
壁も無機質な金属のようなもので覆われている。
一体何の用途に作られたのか、いまいち分からない。
そのホールの中心に、一人の男が立っていた。
2メートルを越す巨漢。
その横幅は相撲取り並に大きい。
「はぁ―――……、、」
思わず溜息が出た。
やはり飛鳥は会ってくれないのだろうか。
それともこいつを倒せば彼はでてきてくれるのだろうか。
次の瞬間、私は目を瞠った。
それは、その巨漢の影に潜んでいたもう一人が姿を見せた時――――――
あの女――――――
私から名を、飛鳥を奪った――――――女――――――!!!
私の中に凄まじい憎悪が湧いた。
目があうと女は笑い、軽く頭を下げて言った。
「私は羅城せつら―――、あなたは?」
私は奈落を抜き、駆け出していた。
第73話:始闘
終わり