「さて―――」
瀕死の重傷にびくびくとその体を震わせる歌織を放置し、ラクサラは飛鳥の元へ戻る。
歌織が立ち上がろうとし、崩れ落ちる。
激痛にあがる絶叫を、堪える。
再起、不能―――――――――……
ラクサラは自分を殺せたはずだった。
しかしそうはしなかった。
生かさず、殺さず。
彼女は何かを自分に見届けさせようとしているのか―――、、、
「なに……、、を……、、、」
「この体から空見飛鳥の魂だけを消し去るんだよ―――、
もうタツに呪縛はない―――……、
だから、この余計な男さえ消せば、あるいは―――……
、
無理にそんなことをすれば、どうなるか、
この私にも分からぬ―――、
最悪タツも―――……、、、
しかし―――……
天から転げ落ちた女は、もう、行くとこまで行くしかあるまい――――――?」
「やめ………………」
「消えるがいい、空見飛鳥―――、、
お前は最初からこの世に存在などしていなかったんだよ――――――」
光の戒めに藻掻く飛鳥に、
ラクサラはその手を伸ばす
その胸に、手を、翳す―――――――――
第79話:荒人神
終わり