私の体は炎に包まれていた。





飛鳥が何かを叫んでいるけれど、炎の音が煩くて、何も聞こえない。





飛鳥、





ねぇ、なんて言ってるの、





聞こえない、聞こえないよ、





遠い、





遠いよ、、





もっと近くに来てよ―――……、





お願いだから、





私の傍にきてよ―――、、





飛鳥





飛鳥










ああ……、、










こんなに呼んでるのに










叫んでるのに










喉が痛くて声が出ないよ……




















視界が揺れる、










脚が崩れる










体が










炎に焼かれ、










全てが崩れ落ちていく――――――






























不思議と恐怖はなかった。










だってこれは夢





そう、これは幾度と無く、繰り返し見た、夢―――――――――





肉体を炎に焼かれる夢





飛鳥を奪われたまま死んでいく





恐ろしい、悪夢―――





焼け焦げる髪





炎に炙られ、爛れる肉体










人は焼かれると、その肉体が燃えるより前に、その命を落とすという―――……










しかし私は炎の中で、全てを見つめていた。










炎に焼かれ、肉が燃え、骨が燃え、










全てが崩れ落ち、そして私は










灰になる――――――










私は風にさらわれ、天へと舞い上がる―――――――――










しかし灰は天へ届かず―――










やがて地に堕ちる。










堕ちて―――










堕ちて―――










堕ちて―――










どこまでも深く堕ちて










地の底に突き刺さる1本の剣へと辿り着く










そして私は










灰に塗れたこの手を――――――










その剣に伸ばす――――――






























そして私は、今、再び―――――――――


















































「なっ――――――!?」






突如、感じた兇悪なプレッシャーに―――、ラクサラがその綺麗な顔を歪ませた。










突然、何もなかった大地に、火柱が立ち上がる。





巻き上がる炎の中―――





吹き荒れる風の中を





無数の灰が舞う―――――――――、





それはやがて集束し





一つの形を形成して―――










彼女はそこに立っていた・・・・・・・・・・・










それまでは持っていなかったはずの―――、一本の剣を手にして。






























少女はその目を開き、凛と言った。










「私の名は羅城せつら。
女、私の飛鳥に触れるな。」











せつらの言葉に気圧され、ラクサラが後ずさった。





その顔にはありありと―――恐怖―――が浮かんでいた。










「お、おまえ―――、その剣は―――…………」










せつらの持つ刀は、切っ先から柄までその全てが黒かった――――――





漆黒――――――





それは深い、深い、そう、まるで光の届かぬ奈落の底にあるような―――、





完全なる闇。










「その剣はっ―――…………!!!」










それはせつらの魂が錬成した幻想の剣





己の名を奪い





愛した男を奪い





人の命を弄ぶ神を殺害するために打ち続けた




















魔剣 神喰―カミクラ―





















「くっ――――――……」





ラクサラはその手を天へと振り上げ、いかづちを打ち下ろす―――。





ドッ―――――――――――――――





雷の直撃を受けたはずのせつらは平然と歩を進める。





彼女はそれをすべて大地へと受け流していた。





無駄だと、分かっているのに、ラクサラは攻撃を止めない。





何度も、何度も、何度も、





雷を振り下ろす。





ただ一人の少女の歩みを、止めるために―――……、





神鳴――― それはまるで彼女の悲鳴の様に―――何度も響いて










「くるなっ――――――……!!」










龍門、それは全ての霊門を凌ぐ―――、完全に次元を異にする力。










それは古代に生きる神の持つ―――、龍の剣。










せつらの歩みは止まらない。










止められない。










龍脈――――――この惑星の生命・・・・・・・から力を得る少女は、止めようが無い。




















「うううっ、ううあああああああああああああっ――――――――――――!!!



 なぜっ、なぜだ―――、なぜっっっっ―――



 羅城せつら、おまえは、私がっ、



 おまえはああああっ―――――――――――――――!!!」










肉薄した。




















「地獄に堕ちろ―――――――――」




















せつらは闇の剣を振り下ろした。



















































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