思えば、分からないことだらけで。
どんな思いでいたんだろう。
『天才』と呼ばれるたびに。
お前はいつも笑ってた。
苦しかったなら、辛かったなら。
そう言って欲しかった。
いつもお前は笑うだけで、俺には何とも言わなかった。
『大丈夫』
そう、柔らかい声で、言って。
最後の、あの時まで。
『死』に直面してもなお。
あんなにも、近くにいたのに。
誰も割り込ませないほどに。
これ以上は、近づけないほどに。
それなのに、俺は、知らない。
よみがえる、悔恨。
胸を刺す、痛み
俺は、お前を、何も、知らない――。