サッカー場につく前に、自主練のメンバーはシルエットで分かった。
 一人はいやというほど見慣れた内海。もう一人は、加納。あの体格と髪型は、加納をよく知らない芹沢でも見間違いようがない。そして残る一人は声で分かった。
「ちくしょうっ、やられた!」
 まだ随分離れていると言うのにクリアに聞こえるバカ声は、斉木しかいない。体育会には声のデカイ人間が多いが、斉木のそれは特別製だ。噂によると、あの国立の観客席からフィールドにまで声が届いたとか言う話である。それが本当なら、ほとんど人間ではない。
 いわゆる、静岡三巨頭揃い踏みであるらしい。そう気がついて、芹沢は早々に逃げ出すことに決めた。内海になどに捕まった日には、消灯時間まで絞られるに違いないのだ。内海はあの小さな体で信じられないほどの体力オバケなのだ。しかも他の二人も似たり寄ったりだ。捕まったら芹沢的にはヒドイ目に合わされるのは、火を見るより明かだ。






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